2011年4月
年度始めに当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
お話の前に、今回の大震災で大変多くの尊い命が亡くなられました、皆様とともに哀悼の意を申し上げますとともに、今なお大変厳しい条件の下で避難生活を送っていられる方にお見舞いを申し上げます。
さて今年は、介護保険制度が施行されましてから11年が過ぎましたが、この間、制度が、措置から契約に変わり、株式会社とかNPO法人が介護事業に参入してまいりました。そのようなことから、皆様方もお気づきのように各地にいろんな施設が増えてきています。また、利用者の居室の希望も多床室から個室化へと変化するなど、私たちの取り巻く環境は大きく変わってきています。
このことは、少子高齢化がますます進んで行く現状におきまして、これからも変化は続いていくだろうと考えているところです。
そのような中におきまして、愛善会の各施設を安定的に運営していくためには、経営資源としての人材育成、これは避けて通れない大きな課題だと思っています。
そういったことから、私どもは、それぞれが研修等を通して、勉強していただきたいと思いますし、またこれからは、プロパーの職員の皆さんがそれぞれの施設の重要な部分を担っていただく体制作りもしていきたいと思っています。
先ほども申し上げましたが、施設が増えてきましたので、かつては黙っていても利用者が入所する時代もあったわけですが、最近は逆に、入所される方が施設を選択する時代になってきておりますことから、私たちは選ばれる施設としての活動を続けていかなければならないというふうに考えております。
私どもは、そのような観点から、愛善会の理念であります利用者が主人公である、こういった立場を忘れないで利用者の皆様からから笑顔を引き出す、あるいは利用者の皆様の満足度を高めるという活動をすることで、それが取りも直さず、働く皆さんの満足度も高めていくということにもなるのではないかと思っています。
ここで皆様に紹介したいと思いまして、原稿を写してきた訳ですが、皆様方ご案内のように、厚生労働省の文書偽造事件というがありましたが、前の女性局長の村木あつこさん、前田検事のフロッピーデスクなどで、大変世間を騒がせた事件です。その村木局長は無罪が確定したわけですが、鳥取県の米子市で地元の福祉関係者が開いたフォーラムで講演されて、逮捕起訴された経験を交えて語ったことです。「制約の多い拘留中の中で、不便を訴えても無理だと思ってあきらめていた。福祉施設においても、利用者から苦情が無くてもサービスがうまくいっているわけではない。事業側がそのことを相当気をつけていないと分からなくなってしまう。」という指摘をされていました。私はそのことに大きな示唆を得たように思いました。
利用者が何も言わないから、満足していると思わないで、こちら側から利用者のニーズを先取りして対応する。この姿勢が私どもにとって必要ではないだろうか。十分こういったことを心掛けなければならないと思ったわけであります。
いろいろと申し上げましたが、今年度も皆様方がお元気で、それぞれの立場で、責任を持って仕事に当たられ、よりよい環境の職場作りに邁進されますことを心からご祈念申し上げ、年度初めに当たりまして、ひとことご挨拶申し上げます。今年度もどうぞよろしくお願いいたします。